サブスクリプション型音楽配信サービスはアーティストを救えるか

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こんにちは。
イードア広報担当です。

 

レディー・ガガの元マネージャーであるトロイ・カーターが、定額制音楽ストリーミングサービス大手Spotify(スポティファイ)の経営幹部に加わることになりました。

 

Spotifyは音楽ストリーミングサービス世界最大手として、約60カ国でサービスを展開しており、有料会員数は3,000万人で現在急増中です。日本にはまだ上陸していませんが、2016年7月にいよいよサービスが開始するとの噂もあります。

 

2008年にスウェーデンで生まれたSpotifyは、会員登録することにより同社がライセンスをもつアーティストの音楽が聴き放題となるサービスです。月額定額制と広告付きの無料という2つの会員プランを用意する、いわゆる「フリーミアム」モデルを採用しており、楽曲ごとにダウンロードして購入する「iTunes」等の音楽配信サービスとは仕組みを異にします。好みのアーティストの曲を数多く聴くことができ、総ユーザー数は1億人に迫るとのことです。

 

楽曲提供の対価としてアーティストに支払われるロイヤリティに関しては、その金額が不十分だとする権利者との間で、意見の相違が絶えません。一方Spotifyはここ1年半ほどの間に、音楽業界の有力者を多数引き入れており、業界との交渉力強化を目的とした人事では、との声もあります。

 

同社が今後のサービス拡大を狙うためには、個々のアーティストとの信頼関係が不可欠です。

そこで今回は、新しい音楽のエコシステムを構築しようとするSpotify対し、支持/不支持を表明しているアーティストたちの主張についてまとめてみました。

 

【定額制音楽ストリーミングサービスはアーティストを救えるか】

目次

1.支持しないアーティストの声

◆アーティストの収入源としては不十分である

◆新人アーティストの活動・成長を阻害する

2.支持するアーティストの声

◆海賊行為の方が、より問題である

◆チケット販売やライブ収益につながる

 

 

1.支持しないアーティストの声

◆アーティストの収入源としては不十分である

ロックバンドのトーキング・ヘッズなどで人気を博してきたアーティストのDavid Byrne(デヴィッド・バーン)は、英国ザ・ガーディアン紙上でSpotifyを明確に批判する声をあげました。

 

「The internet will suck all creative content out of the world」(インターネットは世界中から全てのクリエイティブなコンテンツをダメにする)というタイトルに続く文章では、Spotifyがアーティストの収入源としては不十分であることが述べられています。

 

一般的にアーティストが得るおおよその収入としては、CDアルバム1枚で110円、ダウンロード1曲で16.6円、ストリーミング1再生で0.16円ともいわれ、彼らの作品制作を長期的に保障するものとなるか、疑問視されています。

 

◆知名度の低いアーティストの活動・成長を阻害する

特に問題となるのは、知名度のない新人アーティストなどです。

Spotifyはこれまでレコード会社、音楽出版社、著作権団体等に対して、収益の約70%にあたる約20億ドルのロイヤリティを分配してきました。しかし、各アーティストへの分配金は、ストリーミング量全体のうち、その曲がどれだけ再生されたかの比率によって決まります。したがって、再生数が少ない楽曲に対しては、著しく低い金額しか支払われないような事態も発生してしまうのです。

 

テイラー・スウィフトや、レディオヘッドのトム・ヨークなど有名アーティストがSpotifyから楽曲を削除するなか、音楽の適正な対価が問われています。

 

 

2.支持するアーティストの声

◆海賊行為の方が、より問題である

マイケル・ジャクソンなど数多くの有名アーティストを手がけてきた伝説的プロデューサーであるQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)は、Spotifyの支持をFacebook上で表明しています。

 

「Spotifyは敵ではない。海賊行為こそが敵だ。」という彼の主張のとおり、仮にインターネットから楽曲が違法にダウンロードされた場合、アーティストにとっては一銭の収入にもなりません。同社はむしろ音楽ストリーミングサービスがあるからこそ、海賊版を撲滅できると考えています。

 

実際にデンマークでは、ストリーミングサービスを利用するようになったユーザーで違法ダウンロード経験を過去に有する48%のうち、81%がそれをやめたという調査結果も出ています。

 

◆チケット販売やライブ収益につながる

英国人アーティストのEd Sheeran(エド・シーラン)は、Spotifyでの認知拡大によって南アフリカなど各国のライブでチケットを完売できたとして、擁護の声をあげました。同サービス上で、彼の楽曲は合計20億回を超えるストリーミング再生回数を達成しています。

 

また、彼のようにSpotifyで新曲をプロモーションしたアーティストたちは、売上でも素晴らしい結果を残しました。ストリーミングサービスがCD売上など既存の収益源に悪影響を及ぼすとは、言い切れないようです。

 


インターネットの普及によりCDの販売数が年々減少するなか、音楽業界のビジネスモデルに対し、アーティストからは賛否両論の声があがるようになりました。

収益源の多様化の流れは確実ですが、音楽を制作する側、聴く側どちらにもメリットのあるエコシステムが構築されることが望まれます。

 

 

 

※参考

http://forbesjapan.com/articles/detail/12455/1/1/1

http://jaykogami.com/2013/10/4473.html

http://jaykogami.com/2014/11/9882.html