ソフトバンクの英ARM社買収がIoTを加速させる

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こんにちは。
イードア広報担当です。

 

パソコンやスマートフォンの脳とも心臓ともいえるプロセッサ(CPU)。

その設計において、世界的シェアを誇る英国ARM(アーム)社が、日本企業に買収されます。そう、ソフトバンクによって。

 

ソフトバンクの孫正義社長は7月18日、ロンドンでの記者会見にて、英国ARM社の全株式を約3.3兆円(約240億ポンド)で買い取り、完全子会社化することの合意に達したと発表しました。

ARM社は英国の半導体企業で、マイクロプロセッサなどの設計・ライセンス(半導体知的所有権(SIP))を販売し、それによるロイヤリティ収入などから利益を得ています。

同社設計の製品は、その優れた省電力性からパソコンよりも小型の機器、すなわちスマートフォンやIoTデバイスへの搭載に適しており、特にスマートフォンでは独占に近いシェアを誇る優良企業です。

 

今回の買収は、2012年のソフトバンクによる米国スプリント社買収をも上回り、日本企業による海外企業M&A(合併・買収)として史上最大規模となるものであるため、大注目を集めています。

 

孫氏いわく、「今回の投資の目的はIoTがもたらす非常に重要なチャンスをつかむこと」にあるとのこと。

そこで今回は、なぜARM社なのか?なぜIoTなのか?そんな疑問にお答えするべく、ARM社、ソフトバンクのIoT戦略について、まとめてみました。

 

【ソフトバンクの英ARM社買収がIoTを加速させる】

目次

◆日本における過去最大規模の買収の価値は?

◆ソフトバンクが目指すIoTの姿

◆おわりに:IoTが当たり前の時代が来る

 

 

◆日本における過去最大規模の買収の価値は?

そもそもARM社とは、どのような企業なのでしょう。

正式名称ARM Holdingsは、英国のケンブリッジに本社を置く半導体製品の開発・設計企業であり、1990年に設立されました。従業員は約4000人です。

 

同じくCPU設計を行う米国のインテルやAMDの製品は、より高性能な処理・計算能力を追求しており、主にパソコンやサーバーに搭載されています。一方で、ARM製品の強みは、先にも述べた消費電力の低さです。小型でバッテリーの持続が重要な機器、すなわちスマートフォンやIoTデバイスなどではARM製品に軍配が上がります。

スマートフォン市場の9割、すなわちiPhoneもAndroidも同社のアーキテクチャを利用しているのです。

 

また、前者が設計から製造・販売まで全てを手がけるのに対し、ARM社はあくまで設計に特化し、生産設備を持たない、いわゆる「ファブレス」企業です。顧客はチップ一枚の販売に対し数円~数十円単位での料金を支払います。初期費用の安さもあり、現在、全世界約300社に850以上のプロセッサライセンスを販売しているそうです。

 

IoT(Internet of Things)の時代―私たちの身の回りのあらゆるモノにインターネットが通じる時代―を目前にし、ARMの技術はますます需要が高まっています。今買わなければ、数年後にはもう手が届かなくなっている可能性もある。ちょうど英国のEU離脱によるポンド下落のタイミングでもありましたが、様々な思惑を包含しての決断だったのでしょう。

 

なお、孫氏がARMのトップと接触し、買収交渉を始めたのはわずか2週間前だそうです。まさにスピード経営ですね。

 

 

◆ソフトバンクが目指すIoTの姿

「情報革命で人々を幸せに」この理念を実現するため、ソフトバンクが今後特に注力していくのが、IoT、AI(人工知能)、スマートロボットの3つであるといわれます。

2016年、既にスマートフォン市場の成長が鈍化しているといわれるなか、次なる一手として、いずれも孫氏が期待する分野です。

なかでもIoTは、誰もが手軽にネットに接続することを可能にしたスマートフォンの、延長線上の未来であるといえるでしょう。多様なセンサーを内蔵するスマートフォンの普及により、センサーを安く大量生産する技術が発達し、現在のIoT製品開発に貢献することとなったためです。

 

孫氏いわく、現在一人あたり平均して2つのデバイスを持っていますが、2040年には一人あたり平均1000個のデバイスがインターネットにつながると予測しているそうです。

例えば、ウェアラブル端末が人々の健康を管理し、洗剤が切れれば洗濯機が自動で注文する・・・このようにモノの役割が根底から変わってしまうというのです。

 

そこから生まれる新しいビジネスモデルや市場が、ソフトバンクの次なる成長に必要不可欠であること。そして、スマートフォンがわずか数年で人々のライフスタイルを大きく変えてしまった以上に、「IoTは、もっと爆発的にライフスタイルを変えていく」と、孫氏は語っています。

 

ソフトバンクは2016年3月30日には、IoT製品の創出を支援する消費者参加型のプラットフォーム「+Style(プラススタイル)」をオープン。そのほか7月1日には、テレマティクスサービスプロバイダー米Aeris Communicationsとの共同出資により、企業のIoTやテレマティクスの利活用、サービスの構築を支援する新会社「株式会社Aeris Japan」を設立しています。

 

また今回の買収にあたっては、今後5年で英国におけるARM社の従業員を倍増させること、ARM社独自の企業文化やビジネスモデルを尊重し、継続していくこと、そして何より積極的な投資を行うことが確約されているそうです。

描いた戦略を、着々と現実のものとしていることが分かります。

 

 

◆おわりに:IoTが当たり前の時代が来る

昨今これだけIoTというキーワードが注目されてはいますが、現時点で実際にIoTを身近なものとして感じている人は少数なのではないかと思います。しかし、ソフトバンクのような大企業が強力に事業展開を推し進めていくことで、一気に私たちの認識が変わる可能性もあります。

 

日本で初めてiPhoneが販売された際も、それが数年後、一人一台が当たり前となっていると想像した人は多くありませんでした。現在のIoTには、そのときのことを彷彿とさせるものがあると思います。

 

もちろん新しいテクノロジーの良い面ばかりを見るわけにもいきません。産業革命で環境汚染が問題になったように、新たな問題が発生するでしょう。

また、法整備という面でも、実態に追いついていないばかりか、むしろ既存の規制がイノベーションを阻害しているという問題もあります。

 

良い面・悪い面両方を正しく認識した上で、社会がもっと便利で豊かになることを願うばかりです。IoTは間違いなく、その鍵の一つとなるでしょう。

 

 


7月20日には、弊社主催のイベント「“IoTの未来がよくわかる” 経営者が語る今後のIoTトレンドとは」が開催されます。

当日はIoT事業を展開する経営者3名の方をお招きし、交流会も含めた双方向のコミュニケーションの場としてお楽しみいただく予定です。

参加費は無料となっています。残席僅かですので、お早めにお申込みください。

★イベントページはこちら→https://www.facebook.com/events/1742441755969058/

 

 

※一部日付を訂正しました。

※参考

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1607/18/news031.html

https://note.mu/shibataism/n/n613483c10499

http://logmi.jp/80202