テクノロジーの行く先と、食べものを選択するそれぞれの理由

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こんにちは。
イードア広報担当です。

 

食事に対する私たちのわがままを叶えてくれるのは誰でしょうか?

 

2016年10月17日、オイシックス株式会社は食×テクノロジーに特化した投資部門「フードテックファンド」を設立しました。

フードテックといえば、今や食品の開発、生産から流通、販売、調理など幅広い分野にまたがり、食とヘルスケアに関する数々の研究・サービスを擁する有望なマーケットです。食事は人間が生きていくうえで不可欠な行為だからこそ、その需要は途切れることがなく、また人の数だけ多様なニーズが生まれます。

 

「豊かな食生活を、できるだけ多くの人に」という理念を掲げる同社では、これまでにも「DEAN & DELUCA」や「おかん」など、いくつかのベンチャー投資を行ってきました。今後は自社のサブスクリプション型ECプラットフォームを活かし、顧客約12万人からのデータ収集・分析や、マーケティングノウハウの活用など、一面的ではない投資・連携により、個々の事業をより加速させていく見込みです。

 

そんなフードテック領域において、全く対照的なコンセプトのもと開発された食品について、今回はご紹介したいと思います。

 

伊勢志摩サミットで世界から絶賛された、見た目もおいしい介護食

 

イーエヌ大塚製薬株式会社(本社:岩手県花巻市)が開発した「あいーと」は、介護の現場にイノベーションをもたらしました。

 

体力の低下した要介護高齢者にとって、誤って食物が肺に流れてしまう誤嚥は生死に関わる深刻な問題です。噛む、飲み込む力だけでなく、健康な人間にとっては当たり前の「むせる」という行為ですら、難しくなってしまうためです。

 

しかし従来の介護食は、避けがたい問題を抱えていました。いくら介護を受ける身とはいえ、ミキサーでペースト状になった何ともつかぬ「料理」を日々目の前にし、食べ続けることに意味を見いだせる人が果たしているでしょうか?食欲を失い、生きる気力さえも失っていく高齢者は少なくありませんでした。

 

「あいーと」は、見た目は通常の料理と変わらないにもかかわらず、舌だけですり潰すことができる驚異的な摂食回復支援食です。しかもそれはよくある再形成食品とは違い、酵素を浸透させ繊維を分解する「酵素均浸法」という独自技術を使うことにより、食材そのものの食感、風味、外見を保持しているのです。

 

名前に込められているのは、「I eat」(私は食べる)という能動的な食事という行為への想いです。現在そのバリエーションは和洋中のみならず、おせちや鰻重などといった特別感のあるメニューにまで広がり、人間らしい食べる喜びを多くの人に届けています。

 

「完全栄養食」という新しい食品のジャンル

 

「ソイレント」はシリコンバレーでスタートアップ立ち上げに奮闘する、一人の若者のアイデアから生まれた「完全栄養代替食」です。

 

開発者のロブ・ラインハート氏は、時間も資金もすべてを開発に捧げ、昼夜問わず働く環境にいました。食事をとる時間やファストフード代すら惜しくなった結果、頭に浮かんだのは、現代の食事は本当は非効率なのではないか?という疑問です。必要な栄養素のみにフォーカスした、究極にシンプルで合理的な化学物質の塊、それが「ソイレント」でした。

 

その見た目は、焼く前のパンケーキのもとを彷彿とさせる薄黄色でどろっとした液体。味はほんのり甘く“ふやけたダンボール”などと評されるその飲み物は、人間が生存していくために必要な全ての栄養素を、最も効率的に摂取することを可能にします。また、飲用直後には急激な満腹感に襲われるらしく、空腹感に悩まされることもありません。

 

一見すると信じがたい食品ですが、2013年にクラウドファンディング上でキャンペーンを開始したところ、僅か2時間で目標を達成。2014年には無事製品化され、大手投資機関からの出資も受けつつ、米西海岸の学生やスタートアップ界隈を中心に熱狂的支持を得ました。ネット上には、「ソイレントのみで何日間生活してみた」といった投稿があふれています。

 

なるほど「ソイレント」の食べ方は至ってシンプルです。粉末を水に溶いて飲む、ただそれだけです。

 

しかし、最近になって同社の新製品を食べた人々から、吐き気、嘔吐、下痢などの健康被害が多数報告され、11月17日現在、一部製品は販売停止となっています。原因は、新製品の原料として使われた藻類もしくは製造管理にあるのではないかと推測されています。

 


栄養補給のみに特化した製品が忙しい現代人の生活を支える一方で、人間の尊厳としての食事を売りにする製品が代えがたい幸せを提供している。

 

そこでは私たちが食べるものそれ自体よりも、どのように食べるかという体験を重要視しているのだということを再認識させられます。食べるという行為に「豊かさ」を求める人もいれば、「効率性」を求める人もいるように、今後も複雑化する社会のニーズに対して、テクノロジーが応えてくれそうです。

 

 

 

※参考

http://food-times.jp/news-report/management/2610.html

http://nge.jp/2016/06/13/post-132631

http://www.gizmodo.jp/2016/11/soylent-what-we-know.html