いま、大学発ベンチャーがおもしろい

 

img_3588こんにちは。

イードア広報担当です。

 

“儲からない大学発ベンチャー”というイメージは、過去のものとなりつつあります。

 

先日、Forbes1月号「世界を変える!スタートアップ100選」にて、世界が注目する日本のスタートアップ50が選出されていました。この中でも気になるのは、大学における研究成果をベースに創業・事業を行う、いわゆる「大学発ベンチャー」の存在です。加えて、大学との共同研究など、何らかの連携を有するスタートアップも合わせると、その数は50社のうち半数以上にも上ります。

 

2016年現在、日本のスタートアップの約半数は、大学発ベンチャーであるといわれています。経済産業省の調査によると、2008年大学発ベンチャーの8割は赤字でしたが、2015年では全体の55%が黒字化に成功しているそうです。

 

この背景にあるのは何でしょうか?

 

産学連携が育てるイノベーションの芽

 

2004年の国立大学法人化を契機に、大学を取り巻く環境は大きく変化してきました。従来は国が負担していた大学の運営費用は年々削られ、この10年で1000億円も少ない水準になっています。これまで数々のノーベル賞を受賞してきた基礎研究分野においても、日本の論文発表数は明確に減少しており、世界的な競争力の低下が危惧されるようになりました。

 

交付金減少に対処するため国立大学に求められているのは、自主的な資金繰りであり、研究をビジネスに活かす視点です。大学側はそこにある芽を育てるべく、大学発ベンチャー向けのベンチャーキャピタルを設立してきました。

 

東大と密接な関係にあるUTECも、そんな経緯から生まれたベンチャーキャピタルの一つです。彼らは純粋な資金面での支援のみならず、取引先の紹介や人材の確保など、経営のあらゆる基盤づくりからIPOや事業売却といった出口戦略まで、ハンズオンで支援していきます。

 

2016年11月30日には、政府もこの産学連携を推進する新たな指針をまとめ、企業が大学に支払う共同研究費に、教員や研究員の人件費を含めてよいという方針が示されました。

 

米国など海外の大学においては、人件費を含めて請求することが基本であり、1件あたり1000万円以上となることも多くあります。これに対し、日本では8割以上の案件が300万円未満とされており、産学連携を阻む要因の一つと言われてきました。企業と大学の人材交流が活発化することで、今までにないイノベーションが生まれることが期待されます。

 

若者の研究への純粋な愛が世界を変える(かもしれない)

 

米国スタンフォード大では、大学発ベンチャーを生み出すエコシステムが確立していることは有名です。すなわち、大学というリソースを最大限活用し、ビジネスを成功させ、それをまた現役世代に還元する好循環のことです。

 

Googleの検索エンジンの基となる技術が開発されたのも、創業者が在学中のことでした。大学の規定に基づき、技術の特許は大学のものとなり、ライセンス料の一部として支払われた同社の現物株は、結果的に400億円もの価値を生み出しました。また、Google以外にも、成功した有力ベンチャー起業家からの寄付金が、年間1000億円を超えることもあります。このような事例の積み重ねが、優秀な学生を呼込み、さらなる事業創出につながっていくことは明らかです。

 

日本でも、ミドリムシの研究開発を行う「ユーグレナ」など、成功事例が増えるにつれ学生側の心理も徐々に変わってきました。以前は、研究畑の進路の選択肢といえば、大学でキャリアを積むか、大手企業への就職か、といったものでしたが、そこに起業が加わったのです。

 

優秀な若者たちが、「この研究は実はビジネスになるのではないか?」「論文を書くよりも、世界を変えられるのではないか?」そんな想いを胸に、チャレンジすることが増えてきたといいます。

 

また、大学での研究という技術力に裏打ちされたバイオ系・テック系ベンチャーは、日本が世界と戦う上で非常に有望な領域です。特に、アグリテック(農業×テクノロジー)分野においては、欧米にはない「湿度」の存在が日本の強みとなるといわれます。沖縄というバリューを活かすことで、その技術を東南アジアへ輸出することができるという声もあるようです。

 


多くの失敗を乗り越え、やっと環境が整ってきたとはいえ、少ない資金で高い研究水準を求められる大学側の苦しい状況はいまも続いています。

 

大企業中心だった高度経済成長期の産業モデルを転換し、今まで世に出ることなく埋もれていたような、尖ったスタートアップ・ベンチャーが日本の経済を強くする日が待ち望まれます。

 

 

 

※参考

http://logmi.jp/155631

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF29H0X_Z21C16A1EE8000/

http://www.mugendai-web.jp/archives/5233