21世紀の宇宙開発―何のために人類は宇宙を目指すのか

fabian-oelkers-163333-unsplash

こんにちは。

イードア広報担当です。

 

人類最後のフロンティア、宇宙。その開拓が着々と進みつつあります。

 

2018年2月27日、Vodafoneドイツ法人は月面に4G通信ネットワークを構築する計画を発表しました。月面を走る探査機と基地局間で、科学データや高精細な映像をやり取りできるようになる。史上初となるこの試みは、ベルリンに拠点を置く有志科学者チームPTScientists(パートタイム・サイエンティスツ)が、2019年に実施する民間初の月面探査を支援することを目的としています。この計画には携帯キャリアのVodafoneドイツ法人をはじめ、フィンランドのハードウェアメーカーNokiaや自動車メーカーのAudiが参加し、打ち上げはイーロン・マスク氏がCEOを務めるSpaceXが担当するそうです。

 

「アポロ11号」が人類初の月面着陸を成功させてからちょうど50年。2019年は、そんな節目の年でもあります。

 

米ソ冷戦当時、国力誇示や軍事的目的のために巨額の予算が投入された宇宙開発競争。悲願の月面着陸が達成されてから数十年が経過し、当時と比べると、予算削減の流れのなか人々の宇宙に対する関心は薄れ、月面探査が一般の人々の話題に上ることはほとんどなくなりました。

 

現在、宇宙開発の主導権は国から民間に移りつつあります。イーロン・マスク氏のSpaceX、ジェフ・ベゾス氏のBlue Origin。2016年、日本でも、民間企業が宇宙開発に取り組むための規制を定めた宇宙関連二法の成立により、民間の打ち上げ事業参入が可能になりました。宇宙関連事業を展開するスタートアップの資金調達も活発になり、ふたたび熱気を帯びつつある宇宙開発。それは現代において、どんな意味をもつのか、また、世界のイノベーターたちを宇宙へとかき立てるものは何なのでしょうか。

 

宇宙開発はお金がかかる

 

人類の宇宙開発は、常に莫大なコストとの戦いであったともいえます。

 

2017年、NASA(米航空宇宙局)はアポロ計画当初、約40年前に作られた宇宙服をいまだに使用しており、残された11着も老朽化が進行しているという報告書を公表し、話題となりました。新型宇宙服の開発には過去8年で2億ドル(約220億円)の資金が投じられたものの、技術開発は滞り、いまだ実用化にはほど遠いといわれます。国際宇宙ステーションの運用が終了する2024年、それまでに船外活動で飛行士が着用する宇宙服が足りなくなることは大きな問題となっています。

 

1969年当時、米国がアポロ計画に投じた費用は約250億ドルにも上るといわれます。これは、2017年の貨幣価値に換算すると、およそ1700億ドル(日本円でおよそ18兆円)という驚異的な額になります。

 

40年以上も人類が月に行っていない最もシンプルな理由、それは単純に莫大なコストがかかるからです。さらに宇宙開発は金銭的負担もさることながら、必然的に数年単位のプロジェクトとなり成果が出るまで時間もかかります。冷戦が終結した今、国が巨額のコストをかけてまで月を目指す理由はなくなってしまいました。

 

国が描く未来に誰もが希望を託し、技術開発力の結晶としてもてはやされた宇宙開発。しかし、そんな時代は過去のものとなりました。

 

いかに、低コストで宇宙へ行くか。それは、現代の宇宙開発における一つの重要なテーマとなっているのです。

 

spacex-71870-unsplash

 

宇宙へと向かうイノベーター

①人類の火星移住という野望

 

現在、この世で最も宇宙開発に野望を抱いている人物のうち一人を挙げるとしたら、間違いなくイーロン・マスク氏の名前が挙がることでしょう。人口が増加し、食糧危機や環境破壊が叫ばれる地球から、人類は出て行かなければならなくなるときがくる。人類が火星へ移住する時代。そんな未来に向けて、火星へと航行するロケットを開発しようとしている同氏。

 

電気自動車を製造するTesla社に出資しCEOとなったのも、電気自動車を普及させることにより自動車の二酸化炭素排出量を減らし、少しでも温暖化の進行を遅らせようと考えているからです。

 

火星に人類を送り込む、そのためには今よりもはるかに低コストなロケットを開発し、宇宙開発そのもののコストを下げなければなりません。そのために構想されたのが「再利用可能なロケット」でした。飛行機のように何度でも飛行できるロケットがあれば、打ち上げにかかる費用を大幅に削減することができるとされています。

 

NASAをも味方につけ着々と計画を実現している同氏。2018年2月には、自身が所有するTeslaの真っ赤なスポーツカー「Roadster」を乗せた再利用ロケット「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」の打ち上げに成功。運転席に乗せられた宇宙服姿のマネキンドライバーが、星間を悠々とドライブしているかのような映像を地球に送り届けたばかりです。

 

 

②宇宙まで宅配してくれる物流網の整備

 

同じく宇宙開発の未来に投資する人物といえば、EC最大手企業AmazonのCEOであり、Blue Originを創業したジェフ・ベゾス氏です。SpaceXより2年速い2000年に創業された同社は、長い間その事業の全貌を明かさないまま活動してきましたが、直近ではその開発状況を積極的に発信しています。

 

「人類が宇宙に進出し、活動の場とするため」という目的に向かう同社が開発するロケット「New Glenn(ニュー・グレン)」は、基本的にはSpaceXと同じ「再利用可能」という思想のもとつくられています。

 

誰もが宇宙観光を楽しめる宇宙船やロケットの試験飛行を繰り返す同社。その先に狙うのはもちろん、将来的に人類が月に移住した際、地球から人や物資を輸送するサービスです。

 

 

③世界最低性能の民間ロケット

 

国内でロケット開発を進める企業といえば、堀江貴文氏が経営に参画する宇宙ベンチャー企業インターステラテクノロジズ(以下、IST)が挙げられます。

 

2017年7月、残念ながら打ち上げ失敗に終わった同社のロケット「MOMO」の特徴は、性能を最低限必要なレベルまで抑え、徹底的に削減された開発コストにあります。

 

打ち上げ資金はクラウドファンディングで調達され、部品は秋葉原の電気店などで可能な限り民生品を調達し作られたロケットは、再利用ではなく使い捨てを前提とされています。それは、「より高性能なものを」という従来の設計思想とは一線を画しているのです。

 

フェラーリではなく、スーパーカブのようなイメージと語られる「MOMO」。開発の背景にあるのは、自動車が量産体制のもと生産コストを削減しているように、ロケットも大量生産されることでコストダウンできるという発想です。

 

地上のデジタル化が進むほど人工衛星の需要は増え、それを宇宙へ届けるロケットの需要も増えていくといわれる昨今、同社のロケット開発には期待が高まっています。

 

 

おわりに

 

遠い宇宙の探査に向けた拠点建設や、水資源の採掘など、月面探査の実現は人類の宇宙開発において重要な足がかりとなります。

 

国だけでなく、民間からも進展していく宇宙開発。イノベーターたちの構想によれば、2020年代には、人類の宇宙進出や移住が現実となっているのかもしれません。

 

1961年、宇宙開発競争において劣勢に立たされていた当時の米国ケネディ大統領が「10年以内にアメリカは月に立つ」と演説したわずか8年後。一見無謀とも思えた月面への人類到達が、実際に達成されたことを考えると、技術の進歩への熱狂や期待といったものに後押しされる未来も確かにあるのではないかと思えてきます。

 

 

 

※参考

https://japan.cnet.com/article/35115367/

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H0K_X00C17A6CR0000/

http://bunshun.jp/articles/-/2908

https://dentsu-ho.com/articles/4910