業務の生産性向上のために組織開発に取り組む企業が増えています。
なぜ、今、日本の企業で組織開発による生産性向上が推進されているのでしょうか?
その背景や組織開発をすることのメリット、取り組み方や事例についてお伝えいたします。

■目次■
#01 組織開発とは
#02 なぜ今組織開発が必要なのか
   ・人の思考と行動の変化
   ・組織開発の誤認
   ・メリット
#03 組織開発のフロー
   ・組織の実態を把握
   ・組織課題の改善
#04 組織開発の事例「ヤフー株式会社」
   ・組織開発の導入背景
   ・組織開発の取り組み①
   ・組織開発の取り組み②
   ・組織開発の取り組み③
#05 さいごに

#01 組織開発とは

組織開発とは、個人間の関係への働きかけで組織を活性化し、
個人の能力を引き出そうとするアプローチのこと
を意味します。
この言葉は英語では ”Organization Devleopment” 、略して OD と呼ばれ、
1950年代からアメリカを中心に発展してきた概念です。

#02 なぜ今組織開発が必要なのか

背景には、終身雇用や年功序列など、従来一般的であった日本人の働き方の変化があります。
こうした変化を背景に、個人間の関係性に着目し、組織全体として世の中の変化に対応しながら、
健全に機能するためにはどう変革すべきか?という「組織開発」のアプローチに注目が集まっております。

■人の思考と行動の変化

従来の日本企業では新卒として入社した企業でキャリアの大部分を過ごすことが一般的であり、
また男性中心の組織であったことから、社員の同質性が高く、
価値観のずれなどは発生しにくい環境にありました。

しかし、現代の職場では社員の雇用形態や入社のタイミングは多様化しており、
上司が年下、女性、あるいは外国人と言ったケースも稀ではありません。
また高度経済成長の時代とは異なり、
個人間で仕事に対するモチベーションの源泉も様々になってきております。

また、終身雇用してくれる企業のために働くといった価値観は薄れ、
仕事よりプライベートを重視する人や飲み会などの社内行事を断るなど、
業務後は会社に縛られないといった個を重視する人が増えてきたのも背景に挙げられます。

■組織開発の誤認

組織開発を行ううえで誤認されやすいのが、人材開発との混同です。
人材開発は個々の従業員の能力を高めることで、業績アップに結びつけるものとなります。

これに対して、組織開発は組織全体のパフォーマンスの底上げを図るものです。
個々の従業員を育成しても、優秀な人材が転職し、定年退職を迎えれば、能力を活かせなくなります。
ですが、組織全体として生産性を上げるための仕組みが作られていれば、
人材が入れ替わっても機能することができ、継続的な業績アップにつなげることができます。

■組織開発の誤認

組織全体として生産性が上がる仕組みを整えておくことで、
転職者や定年退職者が出ても、生産性が維持されます。
属人的なノウハウやスキルに頼りきりの状態から脱却ができ、
組織全体でカバーし合える体制や利益を生み出せる体制が整うため、
産休や育休、介護休暇などもとりやすくなり、働き方改革にもつながる効果があります。

#03 組織開発のフロー

組織開発を行うには、まず何が支障をもたらしているか、
現在の問題点は何かという現状把握から始まります。
問題点や課題を明確化したうえで、問題の改善や課題を解決していくために、
どうすべきかを考え計画を立てます。

そして、行動科学の理論を応用した課題解決のためのアクションを行い、
その効果検証を行ってフィードバックし、成功事例を全社に展開していくのが基本的な流れです。

■組織の実態を把握

組織全体を底上げして生産性を向上し、将来にわたって安定成長を遂げていくためには、
現在抱えている業務効率を阻んでいる問題点などを把握することが欠かせません。
そのためには、経営陣や組織開発を推進するメンバーだけで討議するのではなく、
現場の意見を拾い上げることが必要です。

従業員へのアンケート調査や意見を上げてもらうほか、役員などが直接、
現場におりて従業員から話を聞く機会を設けるなどして、組織の実態を把握することに努めましょう。

■組織課題の改善(生産性向上)

組織開発の権威として知られ、マサチューセッツ工科大学の補佐教授である故
リチャード・ベッカード氏によると、組織開発は下記7つのプロセスが存在します。

組織に基づく 「何を、いつまでに、どのような状態にするのか」を
細部まで明確に設定します。
組織全体にかかわる努力をする 最初は小規模でスタートし、徐々に組織全体に働きかけます。
トップ主導で
マネジメント
最初は小規模でスタートし、徐々に組織全体に働きかけます。
組織の有効性・健康
を高める
メッセージを発信し共有することで、
トップと下部組織の関係性が強まり組織全体が機能します。
ベクトルが合うことで、経営陣がフォローしやすくなります。
行動科学の
知識を活用
組織開発は長期的に取り組むべき課題であり、
目標達成のために強い志を持ち率先して協力してくれる人材を
巻き込むことが重要です。
各プロセスにおける微調整 長期的な組織開発の中で、その効果を随時確認しながら進めます。
結果から原因を分析し、ときには目標を再設定します。
計画的介入 目標に対する結果の共有は、
メンバーのモチベーション向上に繋がるため重要です。

組織の実態を把握したら、「何を、いつまでに、どのような状態にしたいのか」明確に計画をします。
組織開発は長期的に取組む課題であり、
長年かけて作られた組織風土と個人の意識改革を着実に遂行します。

その中で、経営陣がどのような組織にしたいのか、
理想の組織像を一貫して従業員に伝え続けることが最も重要です。
そして実践の場では、目標設定、現状把握、課題設定、従業員へのアプローチ、
効果検証とフィードバック、成功事例の展開という手順を繰り返し実施していくことが必要になります。

#04 組織開発の事例「ヤフー株式会社」

■組織開発の導入背景

社長を井上氏から宮坂氏に交代した当時、業績自体は安定していましたが、
大きく業績を伸ばす新規サービスが出せていない時期でしたので、
本格的な改変と「第二の創業」につながる改革が必要でした。

そこで、宮坂氏の経営理念を意識して、人事のトップである本間氏が行った改革の一つが組織開発です。

■組織開発の取り組み①

最初は上司と部下のコミュニケーションの改善を行いました。
インターネット業界のようにスピードが業績に直結する業界では、
強力なトップのトップダウンではどうしても時間がかかりすぎてしまうためです。

実際に行ったのは「1on1」と呼ばれる、上司と部下が週に一度行う1対1のミーティングです。
「1on1」では、日本の会議にありがちな、グループ内で上司の意思や方針を部下に伝えるのではなく、
部下の話を上司が聞くことがポイントになります。

部下はミーティングの準備として自分の業務の内省と考察、意思決定が必要になり、
上司には傾聴、コーチングの手法が必要になりました。

5000人の従業員を抱えるヤフーでは週に2500時間が必要になりましたが、
「1on1」の地道な活動によって従業員一人ひとりが指示を待つのではなく、
自らリーダーシップを発揮することができれば、重要な変革につながると考えています。

社員にも負担を強いることになりますが、
そこで重要になったのが社長から従業員へのメッセージ発信です。
趣旨と重要性を社員に直接伝えることで、社内での導入がスムーズにいきました。

■組織開発の取り組み②

意思決定のプロセスも大きく変え、組織のダウンサイズと、現場への権限移譲を徹底しました。
これにより、現場の自由裁量度は上がりますが、
現場に混乱が起きないように行動規範を策定、徹底させていきます。

さらに上司にはすぐに介入するのではなく、観察し部下が本当に困った時にだけ助ける
ということを伝えるような取り組みを進めました。

■組織開発の取り組み③

大きな改革の中には個別の課題が発生します。
そのため1年後に組織開発のコンサルティングチームを作りました。

このチームでは、組織で発生した課題に対してその組織内のトップからコミットメントをとり、
組織内で変革チームを作成します。

徐々に組織内の活動を進め、効果の検証を行った後、
コンサルティングチームはフェードアウトしていきます。
これにより問題解決能力の援助ができます。

(参考:Biz HINT「組織開発」)

#05 さいごに

組織開発は企業毎により、計画や実行内容が異なります。
組織開発によって、何を改善したいのかを整理し、
実現に向けた計画と評価軸を明確にして地道に行う事が必要です。

そして、最も重要なのは、経営者が「組織開発」そのものの推進、
そして組織が共有すべきミッション、ビジョンを発信し続けることです。

弊社ではこれまでスタートアップから大手企業様まで業界問わずに
組織人事コンサルティングを行ってきております。
組織開発についても、ご相談いただけましたらアドバイスできればと存じておりますので
お気軽にご連絡いただけますと幸いでございます。

 

【お問合せ先】
担当 大崎 麻里
◆電話番号  03-5414-3313
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