このたび、弊社新潟支社長石川翔太が「新潟県公認IT企業誘致アンバサダー」に就任しました。
新潟県への進出をお考えの企業様、ならびに地方へ進出をご検討されている企業様、進出企業と触れる地域の皆様のお役に立てるよう、活動して参ります。
イードアでは地域のオープンイノベーションの一環として「産産官学*」の体制づくりに取り組んでいます。
※「産産官学」とは?
1つ目の産:地域に根付いた企業
2つ目の産:地域になかった企業
官:地域課題を最も俯瞰的に把握している行政
学:上記の共創を強化・促進する教育・研究機関
地域の持続的な発展・イノベーションのためには地域の力と新たな力の融合が必要だと考えております。
それらを促す座組が産産官学です。
新潟県のIT/デジタルの実態
全国でも、新潟県はデジタル化推進率が全国37位(※1)と遅れています。しかしここ2、3年の変化の兆しは大きく、
・県最大級のイノベーション施設NINNOの設置
・県を挙げたガバメントピッチ開催
・デジタル企業の進出費用をゼロにする補助金設置(本編後段で解説します)
・全国でも20程のみが採択される「経済産業省 令和4年度 地域新成長産業創出促進事業」へ、新潟県と地元金融機関ならびに地元企業の座組(弊社も構成員として参画しております)で採択されるなど地域を挙げて「新規事業」や「DX化」への取り組みに邁進していく動きが存在します。
これらの動きにより、デジタル系スタートアップ・ベンチャー企業様にとって事業を推進しやすい土壌が整いつつあり、デジタル環境黎明期ともいえる市場環境から、チャンスの多い環境といえます。
(※1)参考:2021年野村総合研究所 「日常生活に関する調査」
進出にかかるコストについて
地方進出を考える企業様にとって検討要素として大きく左右するのは、進出費用ではないでしょうか。現在、新潟県は地域のデジタル化への積極性から事務所費用や人件費などの初期費用を補助する制度が充実しています。
今回は、これから新潟県内に進出する際にデジタル企業が活用できる5つの補助金をご紹介いたします。各補助金によって、補助内容や利用できる条件の詳細は異なります。それぞれの特徴を、具体例をもって確認していきましょう。
進出に必要な費用を、➀事前に拠点を視察する際、②拠点の開設準備をする際、③開設後のタイミングに分けてシミュレーションしましょう。
➢首都圏デジタル企業の進出シミュレーション
➀視察
担当者2人が拠点の視察のために1週間滞在するとかかる費用は滞在費、事務所が試しに利用できる場合はその利用料、交通費で14~20万円。
②開設準備
新潟市内に10坪 の事務所で新しく正社員5年を雇用すると想定した場合、事務所の環境整備と人材採用費で585万円~600万円の費用がかかります。(人材採用費をかけない方法もございます。)
③開設後
進出後の固定費用は主にオフィス賃料、人件費と考えると、5年間で8160万円~8500万円。
➀+②+③事前調査から5年間の進出にかかる費用はおよそ8759万円です。
この負担額は補助金を利用した場合、どの程度軽減されるのでしょうか。
新潟県が実施している4つの補助金(※2)を全て利用した場合、事前調査費用と人材採用費を除く初期費用の全てと、人材採用費の20%、固定費用内の事務所賃料60%、年間給与の20%が補助されます。結果、当初の負担額が25.6%軽減されます。
(※2)
➀トライアルサテライトオフィス事業補助金
②IT企業立地イニシャルコストゼロ事業補助金
③未来創造産業立地促進補助金(IT・コールセンター等進出支援型)
④地域ICT立地強化雇用創造事業
補助金早見表
各補助金の対象は以下の表の通りです。詳細について順番にご説明いたします。
➀トライアルサテライトオフィス事業補助金
現地調査の滞在費用に関する補助金です。事務所賃料や滞在期間の住宅賃料、本社への交通費が補助されます。
■対象地域:新潟県
■補助内容
事前に現地進出拠点の調査をする際に使用できる補助金です。本社所在地が東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県の企業に適用されます。調査期間は1週間以上、最長2か月まで。補助金額は最大40万円です。
■企業条件
・進出予定拠点がIT企業/情報関連企業/コールセンター/BPOセンターのいずれかであること等
・本社所在地が東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県のいずれかであること
②IT企業立地イニシャルコストゼロ事業補助金
新潟県への進出をお考えのIT企業様を対象とした補助金です。事務所を開設するために必要な初期投資額が手厚く補助されます。
■公募期間:2022年4月1日~2023年2月20日
■対象地域:新潟県
■補助内容
事務所移転に必要な費用が幅広く補助されます。ただし、補助額には上限があるので注意が必要です。対象となるのは、補助期間内に支出/施工/納品が完了する経費となっています。
■企業条件
・新潟県内に支店や事務所を設置していないこと
・IT技術を扱う情報通信業で、事業計画にIT関連の開発業務等があること
・新しい事務所の引き渡し日が2021年10月18日以降であること
・進出事業開始から5年で5人以上の雇用計画があること
■注意
・事業概要の書類と指定の申請書を提出する必要がある
・補助対象の経費を支払ったことが確認できる領収書等の提出が必要となる
・合理性に欠ける経費の場合、申請した経費全額が交付されない場合がある
・補助対象経費について、他の補助金との重複はできない
③未来創造産業立地促進補助金(IT・コールセンター等進出支援型)
事務所の賃料から人材確保の費用まで幅広くサポートを受けることができる補助金です。新潟県が、付加価値が高く若年層にとって魅力がある企業を誘致することを目的に制定しています。
■公募期間:2022年04月01日~
■対象地域:新潟県
■補助内容(各5年間)
補助対象は事務所等の賃料、人材確保の費用、雇用者の月給の3分野にわたっています。どの分野も補助率は費用の20%となっており、各5年間補助されます。補助金額の上限は2億円です。
■企業条件
※「地域経済牽引事業計画」
地域の特性を活かし、高い付加価値を創出することにより、地域に経済的効果を及ぼす「地域経済牽引事業」を促進する計画。この計画は経産省が「地域未来投資促進法」に基づき推進されており、都道府県知事が承認を行っている
参考:https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiikimiraitoushi.html
企業条件は地域経済牽引事業計画や新規常用雇用者の人数、付加価値創出額、売り上げなど網羅するポイントが多岐にわたります。
■注意
・適用には事前手続きと審査が必要
・補助金は5年間、分割で交付される
・補助金交付額は付加価値増加額目標の達成率等によって決定される
④地域ICT立地強化雇用創造事業
新潟県に進出するICT企業の事務所賃料に対する負担を軽減する補助金です。事務所のオーナーとの調整があるため、利用を検討される場合はお早めに担当窓口へご相談を。
■公募期間: 2022年4月1日~2023年3月31日
■対象地域:新潟県
■補助内容
県と事務所のオーナーが委託契約を締結し、事務所賃料の60%を県が事務所のオーナーに支払います。
進出企業が事務所オーナーに支払う金額は、事務所賃料の40%です。
■企業条件
・新潟県内にICT関連事業を行う支店や事務所を設置していないこと
※「ICT関連事業」
情報通信産業(放送業を除く)、または新潟県IT施策推進に資する事業。
例:コールセンター、自社や他社のBPO業務
・進出事業開始から5年で5人以上の雇用計画があること
■注意
・補助金適用の審査のため、事業計画書を提出する必要がある
※地域経済牽引事業計画を提出する場合は不要
・事務所オーナーとの調整があるため、検討中の企業は早めに担当窓口に問い合わせる
⑤デジタル・イノベーション企業立地促進補助金(一般型)
新潟市内に進出を検討されている情報通信関連企業様であれば、今までご紹介した補助金に加えて、こちらの補助を併用することが可能です。継続的な雇用の創出を目的としており、事務所賃料に対する補助の他、雇用者1人につき定額の補助金が支給されます。
■公募期間:2022年4月1日~
■対象地域:新潟市
■補助内容
補助内容は、事務所賃料の補助を行う「事業所賃料補助」と雇用者1人につき一定の金額を補助する「雇用促進補助」の二本立てです。どちらも補助期間や補助額の上限に関して要件が異なっております。補助期間については、「事業所賃料補助」は5年間、「雇用促進補助」は3年間。補助額の上限については、「事業所賃料補助」で900万円/年、「雇用促進補助」で1500万円/年となっています。
■企業条件
・市内に事業所を新設すること
・賃貸借契約締結後1年以内に事業を開始し、7年以上事業を営むこと
・新規常用雇用者の人数が新潟市内事務所での事業開始から5年間、以下を満たしていること
※コールセンター、BPOセンター、カスタマーサポートセンター等の場合
<対象業種>
情報通信関連産業
(1)情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業)(2)インターネット附随サービス業
(3)映画・ビデオ制作業、アニメーション制作業、広告制作業又はデザイン業(専ら情報通信の技術を利用する方法により行う事業に限る)
(4)インターネット広告業
(5)コールセンター業(BPOセンター含む)
(6)データセンター業
(7)その他、情報通信技術を用い自社の事務処理・データ処理を一括して行う事業部門
■注意
・事業着手までに担当窓口への事前相談が必要
イノベーションの場としての地方
地方は、補助金まだ発掘され尽くされていないイノベーションの種が眠っています。
特に新潟は首都圏にアクセスしやすい地方都市であるにも関わらず起業率が低く、これからの可能性を秘めた土地です。
まさに現在、イノベーションの潮流が生み出されている場所があります。新潟最大級のイノベーション施設「NINNO」では「産産官学」を中心とした革新的な共創を行っています。
2022年3月に経済産業省関東局の協力のもと、新潟県初、国内4例目のガバメントピッチイベントとなった「産産官学Fest vol.1」を開催。
地域課題をもとに産産官学での交流・共創のきっかけを創出する目的で、行政から発信された地域課題に対して、県内外のスタートアップ企業が提案を行い、様々なプロジェクトが発足する契機となりました。
その他にも、ジェンダーや国際を切り口とした学問との連携プロジェクトや食や農とテクノロジーの融合のプロジェクトなども進められており、これからの展開に目が離せない土地となっています。
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