発信元:新潟支社長 石川
本社のサポート拠点を探していた弊社は、ご縁があり2020年に新潟へ支社を立ち上げました。支社設立当時は本社のサポート拠点として検討していたものの、地場の企業と繋がりが生まれたことで、事業の拠点としても活動を行っております。
今回は、新潟支社を立ち上げた弊社の実体験及び、Iターンの支援実績、Iターン起業支援実績から、新潟支社より「ローカルドミナント戦略」についてお伝えします。
現在、新型コロナウィルスに対する感染対策としてリモートワークが浸透しつつあります。場所にかかわらない働き方が広まる中で、特にそういった場所を問わない働き方を取り入れやすいベンチャーやスタートアップ企業こそ、この機会に地方へ足を踏み出してみてはいかがでしょうか。
次年度新しいことに取り組みたい。次年度営業先を広げたい。少しマーケティング投資をしようか、どうしようか。そういった事業拡大のための投資を考えている企業様こそ、初期投資低コストで事業可能性が広がる戦略として「地方進出」をおススメします。
これまでの企業の地方進出は、「ニアショア」などの言葉に代表されるように人件費や土地代といったコスト面からBPO拠点としての進出を検討されることが多くありました。
しかし、現在弊社が支社をかまえる新潟県をはじめ、多くの地域でベンチャー・スタートアップの誘致が行政主導により促進されることで、進出にかかるコストは補助金などで大きく削減され、地方進出するベンチャーやスタートアップ企業は年々増えています。(新潟県2021年度は進出にかかるオフィス・オフィス什器代など、ほぼゼロ円で進出可能)
これら事業拠点、収益を期待する拠点としての進出についてベンチャー・スタートアップだからこそ事業戦略の一つとして検討してみることを勧めます。
大手企業であれば、「すでに進出している」か「大手としての事業合理性に合わない規模のマーケットとして選択されない」という吟味は一通り完了しているものであると考えております。しかし、ベンチャーやスタートアップが投資/リターンとして許容する規模の、掘り起こされていないビジネスは地方に眠っています。
首都圏スタートアップ・ベンチャー企業の脚力や投資/リターンへの期待と、地方の経済合理性や地域特性を活かして、小規模企業が大手企業に勝てる部分を見つけていくランチェスター戦略の構造構築を、「ローカルドミナント戦略」と呼んでおります。
地方進出を戦略として武器にして、そのエリアに特化したビジネスを展開しシェアの獲得を狙い、それらをモデル化して全国各地域へ広げていくこと、事業を伸ばすこと。その利点を以下にてご説明させていただきます。
プラットフォーマーの現在とローカルドミナント
消費者の行動・嗜好性は単一性を失い、細分化されていき、今や既に地方にもリーチしている大手プラットフォーマーのマスマーケティング戦略ではまかないきれない点が露わになっております。地方に来てみると、地域においてプラットフォーマーが機能しない/サービス提供ができない問題が発生していることを目にします。
「ローカルドミナント」は、そこにベンチャーやスタートアップの戦い方の勝機があると考える戦略です。
例えば、新潟県で飲食店を探すことになったら皆さんはどうしますか。
実際に、私は新潟への赴任当初、スマートフォンを使い「食べログ」や「Retty」といった全国展開している有名なグルメサイトでお店を調べました。しかし、口コミでの評価が高いお店のランキングを見ると、ほとんどチェーン店ばかりで、地場のおいしそうなお店がなかなか見つからないという状況でした。(東京ではそんなこともなく、ある程度「☆☆☆」の信頼度があり、大手プラットフォーマーのサービスをよく利用させていただいておりました。低いけど美味いお店の見分けもわかるくらいでした(笑))
別日に、地元の方からお誘いいただき食事をすると美味しいお店を発見。地元の人からも愛されている。なのに、ネットで調べると口コミが低かったりします。それからも口コミの低いお店に入る機会がありましたが、美味しいお店は多くあり、実はミシュランで星を獲得しているお店だったりすることもあります。
そもそも、CGMのようなサービスではそもそも投稿数が少なく地域では機能していない実態を目の当たりにしました。
では、どうするのか?地方で美味しいお店を探すにはどうしたら精度が高いのか?
例えば新潟だと、「新潟Komachi」(発行:株式会社ニューズ・ライン)といった新潟に本社を構えた企業が発行する地域に特化した情報誌を読む、地域の人に聞いてみる、といった方法が一番有効でした。
(※だからといって、タクシーの運転手さんに聞いたとしても、最近のお店には必ずしも詳しくはないのだ、とわかってきました。新潟県新潟市のように観光地的シンボルが少ない土地だと、美味いお店・行くべきお店は分散されて、多くのお客様を連れていくことで蓄積され・傾向地化するタクシーの運転手さんのナレッジも分散されてしまっています。)
これらの「飲食情報」の事例のように、地域に特化した情報網を持つ企業は大手を凌駕する情報量や質を持ち合わせます。
地域の情報を収集する、といったローカルに特化したリーチ力においては、長い時間をかけて地域の経済圏での合理性を追求してきた情報網やネットワークに、首都圏より進出してきたプラットフォーマーが勝つのは難しい状況が目立ったりします。(だからといって、大手プラットフォーマーにとって、そのエリアを必ずしも押さえなくてはならないという状況にはならないという大手の事業戦略としての経済合理性の話も発生していることだと思います)
地方などのあるエリアに特化することで、一つの情報獲得におけるコストが安くなり、情報の質・信頼度が向上していくのです。
さらに、クチコミサイトなどのCGMであれば、地域で利用されそうな情報発信に特化することで、地域から愛され、地域のユーザーからの投稿によって情報の質もさらに高まり、その情報を見たユーザーがさらに増加していきます。
ローカルドミナントは、このような正のスパイラルを誘発するのです。
ローカルドミナントの実例
その戦略をとっている企業様の事例として、株式会社ユニークワンがあります。東京の大手企業で働いていた立川和行 代表取締役社長が新潟で地方の IT化を目指すベンチャー企業・株式会社ユニークワンを立ち上げ、事業の一部として新潟市の地域情報サイト「にいがた通信」を運営しています。
新潟市をこよなく愛する30代の派遣OL「ガタコ」がブログ形式で情報を発信する形式になっており、新潟市に特化したグルメやイベント情報が数多く掲載されています。Twitterでは5.2万人(2022年2月時点)のフォロワーをもち、そのフォロワーから地域のお店の閉店情報といった地元住民にしかわからない細やかな情報を提供されることで、地域の情報を深く網羅しています。
また、地域に根差したWebメディアとして「にいがた経済新聞」(運営:有限会社にいがた経済新聞社)があります。情報発信のスピードが最も速く、新潟県内のニュース情報を新聞社よりも速く発信しています。このため、Twitterでは1.2万人(2022年2月時点)を超えるフォロワーをもち、フォロワーはどこよりも早くここで最新の情報を仕入れています。
また、東京に本社を構えるベンチャー企業では、キャリアシェアアプリ事業を運営する株式会社shabellも新潟へ地方進出をすることで事業を加速させている企業の一つです。事業転換を機に、東京から新潟に進出し、行政や教育機関との連携を推進しております。
首都圏よりも地方では、行政や教育機関といった関係機関と企業との距離が近いため、事業をする上での連携もとりやすい環境です。事業の知名度が広がってくれば、新潟県内の教育機関や利用者へのブランディングや認知は漸進的に正のスパイラルに入ることが予想されます。
弊社イードアはこうしたベンチャー・スタートアップのIターン支社/Iターン起業のお手伝いをさせていただいております。
新潟駅の近くにある新潟県最大級のイノベーション拠点施設「NINNO」において、ベンチャー・スタートアップの進出の場づくりや産産官学*が連携したイノベーションの推進をしています。
産産官学
地域のイノベーションの流れの創出には、地場企業とイノベーター企業の共創が重要であると考えた交流の造語。1つ目の「産」は地場企業、2つ目の「産」は地場になかった企業(地域外企業や地域で起業する人)これらを支える、「官」と「学」の継続的な交流が地域の発展を下支えすると考えております。(同発想においては、大手企業の方も地域の方と仲良くなれるような場づくりを目指しております。)
地域進出における新しい可能性を検討されることがありましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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株式会社イードア 広報担当
■電話番号:03-5561-6255
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